
世に老舗を謳う料理屋や宿は数あれど、長州藩控え屋敷(明治維新の参謀本部)の佇まいを今に伝え、納涼床まで愉しめる料理旅館は希少である。登録有形文化財に指定されており、説明付きで建物内を案内されるのも嬉しい。「幾松」の名の由来は、維新の指導的政治家・桂小五郎(後の木戸孝允)と三本木の芸妓・幾松(後の松子夫人)が住んでいたことから。新選組が押し入ったとき、幾松が小五郎をかくまい、血気だった近藤勇を相手に丁々発止やりあったエピソードは歴史ファンでなくても興味深いはず。 |
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森鴎外の「高瀬舟」で知られる高瀬川に沿った木屋町筋に玄関を開く。京都の中心地で河原町繁華街に近いのに、そうした喧噪とは無縁の静けさに包まれている。客室は鴨川に面しており、東山三十六峰をはじめ、大文字、比叡山を一望。日暮れ時、鴨川の堤を歩けば、旅情はさらに深まっていく。 |