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幾松(いくまつ)

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恋と歴史の物語に美味を添えて
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京都 旅館「幾松」

幾松と小五郎

世に老舗を謳う料理屋や宿は数あれど、長州藩控え屋敷(明治維新の参謀本部)の佇まいを今に伝え、納涼床まで愉しめる料理旅館は希少である。登録有形文化財に指定されており、説明付きで建物内を案内されるのも嬉しい。「幾松」の名の由来は、維新の指導的政治家・桂小五郎(後の木戸孝允)と三本木の芸妓・幾松(後の松子夫人)が住んでいたことから。新選組が押し入ったとき、幾松が小五郎をかくまい、血気だった近藤勇を相手に丁々発止やりあったエピソードは歴史ファンでなくても興味深いはず。

喧噪とは無縁の静けさ

森鴎外の「高瀬舟」で知られる高瀬川に沿った木屋町筋に玄関を開く。京都の中心地で河原町繁華街に近いのに、そうした喧噪とは無縁の静けさに包まれている。客室は鴨川に面しており、東山三十六峰をはじめ、大文字、比叡山を一望。日暮れ時、鴨川の堤を歩けば、旅情はさらに深まっていく。

京都 旅館「幾松」

在りのままの歴史を体感

当時のままを今に継ぐ「本玄関」と「幾松の部屋」、「小松」と呼ばれる茶室がある。「幾松の部屋」では古来の調度品や建築様式を眺めるうちに、天井の珍しい意匠に気づく。これは敵の襲撃に備える吊り天井であり、側には川原へ逃げる抜け穴も…。桂小五郎と幾松が愛を育みながら、つねに危険と隣合わせだった事実を物語る。

こだわりが生む新しい味わい

料理は季節の彩りを味わう京懐石が人気。素材は生産者の顔が見えるものだけを選び抜く。とくに京野菜にはこだわり、朝掘の良品をその日のうちに調理、提供する。京料理の伝統は固く守りながらも、新しい献立にも常に挑戦を続ける。太鼓判を押す「特製手作り豆腐」は絶品だ。

京都 旅館「幾松」

多彩なセレモニーを個性的に演出

「お客様の最高の寛ぎのために、柔らかな対応を心掛けています」。押し付けでなく、求めるものを心地よく提供することが料理旅館の本分とわきまえる。
イベント企画の相談にもスタッフ総出で知恵を絞る。これまでに御結納、結婚式、長寿のお祝い等、祝儀・不祝儀を含めた節目のセレモニーも数多く行われ、新しい時代の懸け橋を築いている。

掲載情報は2006年夏に取材した内容で、写真はすべてイメージです。
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