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女将さんのおすすめ
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女将さんのおすすめ

Vol.5 冨田屋 女将 田中峰子さんのおすすめ  
冨田屋 女将 田中峰子さん

―――昔ながらの京都の暮らしを守っておられますが、どんなところに良さを感じられますか?


まず朝起きたら、井戸の神さん、水の神さん、家の神さん、おくどさんの神さん、蔵の神さん、弁天さん、えべっさん、商売の神さん、いっぱいの神様に、神様用の井戸というのがあるんですが、その水を汲んでさしあげて、手を合わせることから1日が始まります。うちの家には大ばあちゃんの時代からずっと変わりなく、朝「おはよう」というのと同じ感じで自然に伝わっている習慣です。神様は自分の心の中にいるだけですから、目に見えないかもしれない。でも、毎朝手を合わせることによって、安心と安全と精神的な安らぎを得られるんです。今、殺伐としている世の中で、子供さん、若い人、親子、親戚の悲しくなるような事件がいっぱいありますけど、もしお婆さんのそういう姿を見ていたら、人に悪いことしようって思うようにはならないと思うんですね。

それから、お雛さんになったら「これは誰だれ婆さんのお雛さんやったな」と話しながら出して、花見に行くには小袖を新調して。夏のしつらえいうたら、網代(あじろ)に簾(すだれ)、葦簀障子(よしずしょうじ)出してきて……。こういう、何かゆったりとした良い暮らしが無くなっているのだとしたら、それを少しでもお伝えしていきたいですね。日本には、空気にも花にも土にも神さまがいはる。もう若い人はすっかり忘れているけれど、うちの家を見るだけでもそういうのを思い出して、四季に触れて欲しい。「ああ、今は3月なんや」と思ったら、今度は家に帰ったら貝合わせの一つでもちょっとお飾りしといたらいいんです。文化っていわれたらみんなすごく敷居の高い、お金がすごいかかるものって思っているけど、違います。文化というのは庶民が集まって、みんなで遊んで、楽しかったから継続してきたものなんです。

―――冨田屋さんは呉服商ですが、着物の魅力について教えて下さい。

季節を着ることができるところですね。「今日はどんな帯がいいかな、庭に蝶々が飛んでるしこの薔薇に蝶々のつづれにしよう」とか、考えただけで楽しいでしょう?
それからシルクの温かさ。繭の生きている息が感じられて、肌触わりもいいですし。着物きただけで背筋がのびてしゃんとした気分になり、立ち居振る舞いも変わりますしね。「面倒くさい、そんな毎日着てて汚しませんか? 大変でしょう」ってよく言われますけど、そんなん洋服来ても汚れるのは同じです。セーター着てズボン履くより楽しいですしね。京都の町は着物が似合う場所なので、どこでも着物で出かけて大丈夫です。春と秋には市バスが無料になる日もあるし、着物姿だと1年中と割引してくれるタクシーもありますよ。

―――女将さんが住んでおられる西陣でのお気に入りの場所を教えて下さい。

一番のお気に入りの場所は、うちの茶室です。ここの雰囲気は西陣のど真ん中で、町中と思う感じがしない。何か“気”が感じられるんです。3時や10時にお茶点ててね。ちょっと新しいお菓子をいただいたりしたときや仏さんに点てたり、お茶会みたいな難しいことはせずに、気軽にさっとたててお茶をいただくんです。「くらしの美術館」では、お茶室を体験していただくプランもあるので、最近は観光客の方に点てるのも多いですけれど。


町でいえば、北野天満宮の梅、平野神社の桜は必ず行きますねえ。その前にあるとようけのお豆腐やさんも美味しいですよ。うちの地域の守り神は晴明神社ですし、白峯神宮もすぐ近くにあります。御所も歩いていけますね。ご近所の塩芳軒、鶴屋吉信さんのお菓子は美味しいですし、鳥岩楼のおどんぶりも美味しいでしょう? 五辻のこんぶも美味しい。全部町内会を紹介していってるんですけど(笑)すごい町やなぁ思います。



鳥彌三 女将 さん

<プロフィール>

冨田屋十三代目。呉服商を営むかたわら、築約130年の商家と昔ながらのしきたりを守り続ける暮らしぶりを「くらしの美術館」として公開。また、和のマナースクール「和道会」を主催し、各セミナーで講演しながら、西陣に伝わる心身共に美しく生きる知恵を後世に残すべく活躍している。春からは同志社大学の講師として教鞭をとる。

女将さんのお話を実際に聞けるプランが登場!!
町屋で体験!
西陣くらしの美術館 冨田屋(町屋見学コース)>>

■北野天満宮

菅原道真公を祀る神社で、毎月25日の縁日“天神さん”でもお馴染み。早春には境内と梅苑で2000本の梅が咲く。

TEL : 075-461-0005

北野天満宮

■平野神社

平安遷都とともに奈良から遷座した古社。桜の名所としてもお馴染みで、春には50種400本の桜が花開く。

TEL : 075-461-4450

平野神社

■京豆腐 とようけ屋山本

北野天満宮の門前にある豆腐店。併設のとようけ茶屋では丼や湯豆腐などの品が揃い、人気の豆腐が賞味できる。

TEL : 075-462-1315

京豆腐 とようけ屋山本

■晴明神社

平安時代に活躍した陰陽師・安倍晴明を祀る社。地元では、命名などもしてもらえる占いどころとしても有名。

TEL : 075-441-6460

晴明神社

■白峯神宮

蹴鞠の宗家・飛鳥井家の屋敷跡に創建され蹴鞠の神様も祀ることから、サッカーの神様としても信仰を集める。

TEL : 075-441-3810

白峯神宮

■塩芳軒

ご近所さんから茶人まで、幅広く愛される菓子司。四季おりおりの生菓子や和三盆の風味が上品な干菓子が人気。

TEL : 075-441-0803

塩芳軒

■鶴屋吉信

享和三年(1803)創業の老舗京菓子店。店内の菓遊茶屋では、目の前で手作りされた生菓子を味わうことができる。

TEL : 075-441-0105

鶴屋吉信

■鳥岩楼

看板料理の鳥の水炊きは、時間をかけてとった鳥のスープが絶品。お昼限定(12時〜14時)の親子丼も美味。

TEL : 075-441-4004

鳥岩楼

■五辻の昆布

だし昆布からおぼろ昆布や塩昆布、おつまみ昆布まであらゆる昆布が揃う。どれも手作りで、風味豊かな味わい。

TEL : 075-431-0719

五辻の昆布

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