[祇園]
祇園新橋の白川沿いにある「おばん菜」の店。おばん菜とは京の家庭料理のことで、昔ながらの食材を使い、昔ながらの味が楽しめるとあって、旅行者にも喜ばれている。この店はカウンター9席、5人掛けのテーブルが1つと小さいながら、年季を積んだ料理長の確かな腕前に、地元の常連客を含め人気が高い。笑顔の素敵な女将のもてなしに、初めてでもすっと馴染める親しみやすさもある。白木のカウンターや和紙の照明を配し、柔らかな雰囲気が漂う中、伏見の地酒や京都城陽の梅酒をしみじみと味わい、和みの時間を過ごしてみたい。
カウンターには、たとえば、茄子とニシンの炊いたん、ぶり大根、いも棒といった季節のおばんざいが、8~10種類大鉢で並ぶ。あれもこれも食べてみたい!と思ったら、ぜひ「おまかせおばん菜コース」を。その日のおばん菜を全種類少しずついただける。これに、先付け、お造り、豆腐または湯葉の一品、焼き物、揚げ物、ご飯などが付き、食べ応えもあり。京料理とは一味違う、どこか懐かしい味わいに、気分もほっこりする。
おばん菜ゆえ、「京都や京都近郊など地元の食材にこだわっています」、と料理長は言う。メイン食材の京野菜は、園部町の契約農家の畑から。京都有機の会に所属しており、安心でおいしいものを届けてくれる。魚介は丹後や越前三国漁港よりの直送。ほかに、味噌や酢などの調味料まで、生産者の顔が見える“京都物”が、この店の料理を作り上げている。
祇園白川は、川沿いにお茶屋や料理屋が軒を並べ、ソメイヨシノ、枝垂れ桜、雪柳や、梅、アジサイが咲き、枝垂れ柳の揺れる風流な道。芸妓さん・舞妓さんが信仰する辰巳大明神も祀られており、散策する人で賑わっている。店内にいても、街灯のあかりがかすかに差し込み、人のざわめきが聞こえ、その風情を肌身に感じることができる。うまい料理と酒、花街の風情に酔いしれてみよう。