[先斗町・木屋町]
「先斗町 卯月」は元・お茶屋で、京都画壇を中心とした芸術家や国内外の賓客などに愛されてきた。料理屋となったのは昭和42年。お茶屋の風情を守りつつ、「どなたにも京料理を召し上がっていただけるように」と、いち早く“一見さんお断り”を取り払い、今に至っている。書画骨董の多く飾られた店内は、右手に鴨川を、正面に日本画を観賞できるようしつらえられたカウンターや、個室の座敷を配し、夫婦連れ、女性同士、接待などでよく利用される。天然魚介や大原の朝採れ野菜などを用いた、旬を満喫できる料理に舌鼓を。
同店の料理は、味わいはもちろんのこと、華やかな盛り付けにも定評がある。見た目の美しさだけでなく、時には取り分ける楽しさも提供。たとえば夏には、「鮎の塩焼き」を、串を打ったまま人数分竹籠に刺して野趣に富む盛り付けに。また冬瓜をくり貫いて器にし、その中に季節野菜をカラフルに盛り付けるなど。見た目にメリハリがあることもコース料理を食す楽しみとなっているのだ。品数を少なくした「半コース」もある。
同店で最近生まれた名物料理「胡羅亜源鍋(コラーゲン鍋)」は、金鍋にスッポンの身、スッポン豆腐、季節の野菜を盛り、スッポンのスープを張った贅沢な一人鍋。きれいな盛り付けに、「スッポンはどうも苦手」という人でもきっと箸がのび、おいしさを新発見できるはず。名前の通りコラーゲンたっぷりで、特に女性にはうれしい。1年を通して味わえ、コースに付くことも。単品での注文も可。できれば事前に予約を。
5月~9月の納涼床は、6席とこじんまりしている分、落ち着いて食事をしたいときにぴったり。畳に座卓が並び、簾に丸提燈を掲げる、昔ながらの風流な川床だ。三方を囲む板塀には、日本画の巨匠・堂本印象画伯がデザインした千鳥が彫られていて、さりげなく、お茶屋の頃からの歴史を伝えている。