とりやさ

[先斗町・木屋町]

秘伝の白いスープに言葉を失う

同じ屋号・同じ料理

京都 グルメ 「鳥彌三」

天明八年(1788)、京情緒ゆたかな高瀬川沿いに店を構えた初代店主・彌助。二代目の彌三郎より鳥料理を扱うようになり、自らの名から「鳥彌三」と命名した。以来、二百有余年にもわたって同じ屋号・同じ料理で営まれていることに、並々ならぬ決意と自信が窺える。
のれんをくぐるとひんやりとした石畳が奥まで続き、昔さながらの高下駄の音が心地よく耳に響く。打ち水された足元に滑らかな光をたたえるのは鞍馬石。磨き抜かれた漆黒に輝く石の上を歩けば隔世(かくせい)の感がこみあげる。さらに奥へと進み鴨川を見渡すと、古来より変わらぬ水の流れに時が経つのを忘れてしまう。

味わいを極める

名物「水炊き」を前にして、まず驚くのは白いスープ。鶏ガラだけで三日間、強火で炊く。その間の番をするのは七代目の主人と跡継ぎ、それに専属職人の三人に限られる。混ぜ物を一切使用しないだけに、味わいを極める技術は絶妙だ。幕末の頃には坂本龍馬も口にした、同じ味わいを愉しめる貴重な体験も御馳走と言える。

京都 グルメ 「鳥彌三」

徹底した素材へのこだわりに脱帽

秘伝のスープは見た目よりあっさりでコクがある。鳥肉には「丹波のぢどり」と「名古屋コーチン」を使用。卵を産む前、生後120日ほどのめん鳥にこだわる。「鳥肉で最も美味しい部分」との理由から、骨付き肉を選んでいるのも特長だ。京菊菜、白菜、京豆腐、湯葉、店でついた焼餅などが入り、自家製ポン酢が素材の味を際立たせる。

舌が歓ぶ、新しい味覚との出逢い

「水炊き」とともに人気があるのは「鳥肝」だ。サッと湯通しし、特製ダシに漬け込まれた逸品は、まるでフォアグラのよう。ふんわりとろける旨みを堪能したい。四季折々の旬の味覚を好む方には、目に鮮やかで奥深い味わいの「京懐石」をご賞味あれ。

京都 グルメ 「鳥彌三」

建築意匠に悠久の歴史を感じて

味わい深いのは料理だけではない。建物自体が"登録有形文化財"であり、各部屋とも贅沢な広さ、造りはすべて異なる。ある部屋のガラスをよく見ると歪んで見えるが、これは日本で最初にできたガラスというから恐れ入る。水炊きの器はすべて清水焼を使用し、先々代から受け継ぐものも多い。夏季にはぜひ、納涼床で川面に流れる風を感じたい。

掲載情報は2006年夏に取材した内容で、写真はすべてイメージです。

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