[四条河原町・市役所周辺]
四条河原町にある「四条御旅町 田ごと」。一歩足を踏み入れば、打ち水された石畳の通り庭が延び、店内は喧騒から離れた静かで落ち着きある空間となっている。地の利としっとりとした雰囲気を併せ持ち、地元客にも観光客にも人気の店だ。平成20年3月に新装開店し、テーブル席、座敷の個室、大広間とさまざまな趣向の部屋が設けられた。時代のニーズに応えつつ、調理には井戸水を使い、素材の風味を生かし切る伝統的な料理の数々が、さらに幅広い客層からの支持を得ている。
「田ごと」の代名詞ともいえる「光悦水指弁当(こうえつみずさしべんとう)」は、本阿弥光悦作の信楽焼の水指をかたどった二段のお弁当。上段にはていねいに調理された20種類ほどの料理、下段には季節のご飯が盛られる。およそ50年の間、料理内容はほぼ変わらず、ゆばを使った一品や海老芋など季節野菜の煮炊き物、能登の天然塩で旨みをつける鰆の西京焼など、風味のよい品々が堪能できる。これに季節の小鉢2種類、自家製わらびもちも付いて、量的にも十分だ。
店名の「田ごと」は、「棚田に映る“月”」に由来している。その月にちなんで「うさぎ」「杵」などの名が付いた会席料理は、季節感を重んじる茶の精神を映す。華美に走らず、旬の素材が持つ味や香りを生かすことを大切にした、素朴で奥深い味わいがしみじみとうれしい。「ゆば料理」も京都らしさで人気。ぎんなん、きくらげ、百合根を包んで揚げる東寺ゆば、刺身などゆば料理をメインに、精進に近いヘルシーな内容となっている。さらに「ゆば会席」には、自分でゆばを引き上げ、にがりを入れて豆腐も味わえる「引きあげゆば」も付く。
同店は1階から3階までエレベーターで移動でき、高齢のお客様でも利用しやすい。まず1階は気軽なテーブル席が主体。2階には半個室の掘りごたつの座敷やテーブル席があり、親しい人との会食にぴったりだ。またカウンター席もあるので、一人でも気兼ねなく利用できる。3階には30名まで収容の大広間。また床の間や違い棚を配した個室の座敷は、祝いの席や接待の場としてもふさわしい。その時々で、料理と部屋とを使い分けて楽しみたい。