(すみやりょかん)

[四条河原町周辺]

老舗で“もてなしの心”を味わう

粋人の美意識

京都 グルメ 「炭屋旅館」

都会の喧騒の中にありながらも、古い町並みと閑静な佇まいを残す麩屋町(ふやちょう)にある老舗の宿「炭屋」。鍛冶屋を家業とし、炭で火を起こしていたことが屋号の由来である。大正期には全国から茶の湯をはじめ俳諧(はいかい)、能、謡(うたい)などに通じる粋人達が集まり、今でいう文化サロンの様を呈していたが、万人に酒肴(しゅこう)を薦め寝所を用意する主人の厚いもてなしが興じ、宿屋を営むこととなった。

贅を凝らして

謡曲の題などを銘にした部屋は、全て京の北山杉を使った数奇屋(すきや)造りの座敷で、欄間には贅を凝らした細工が施されている。また、高野槙(こうやまき)を使った風呂は豊かな香りと木の温もりで、訪れる人々を癒している。

「茶の宿」の茶席

玉兎庵(ぎょくとあん)、一如庵(いちにょあん)など五つの茶室を持ち、露地、庭には井筒や燈籠を配する「茶の家」でもある。裏千家の老分職をつとめた先代と、先々代の命日にあたる毎月七日と十七日の夜には「月釜」と称して釜を懸げて茶を振る舞い、供養としている。また、お茶の正月といわれている秋の「口切茶事」をはじめ、季節毎に様々な茶事も行われる。

京都 グルメ 「炭屋旅館」

茶の道を知り、京を知る

懐石料理は茶懐石ともいい、元来は茶の作法にもとづく厳格なもの。その珠玉の料理を一品ずつ、落ち着いた部屋でくつろぎながらいただく。加茂茄子、聖護院大根など京の伝統野菜と、新鮮な海川の恵みの、透き通るほどの淡く優しい味付け。肌美しい清水焼の器に、四季の趣と共に盛り付けられ、目と口を楽しませてくれる。

京都 グルメ 「炭屋旅館」

京の四季を堪能する

京の夏は、盆地特有の茹だるような暑さ。「葭障子(よししょうじ)」をたて、畳上に「網代(あじろ)」を敷いた座敷で、涼しげな鱧、鮎をいただく。比叡おろしが吹き抜け、底冷えする冬には「緞通(だんつう)」を敷き、ほっこりと湯豆腐、鴨鍋を食す。

四季折々の創意、趣向が風情をかもし出し、より一層、料理の味わいが深まっていく。

京都 グルメ 「炭屋旅館」

飾らない“まごころ”

女将の信条は「出しゃばらず、目立たず、さりげなく、聞き上手に徹すること」。お客様との心の通ったやり取りから、その志が窺える。部屋の趣向、料理や酒を供すタイミングや温度、好みなど、気配りと心のこもったもてなしに、いつしか「炭屋」の格式の高さを忘れる。「また訪れたい“くつろぎ”と“やすらぎ”の場所」になる瞬間だ。

掲載情報は2006年夏に取材した内容で、写真はすべてイメージです。

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