[祇園]
観光客で賑わう祇園にあって、喧噪から少し離れた界隈に面を構えるのが「鉄板割烹 爽」だ。鉄板料理はもちろん、京風の創作割烹も愉しめる。看板メニューの和牛フィレ・和牛ロース鉄板焼きは、肉の旨みと脂身の甘みが絶妙のハーモニーを奏でる。割烹の品々は見た目にも彩り鮮やかで、いわゆる鉄板焼き店の単品メニューとは一線を画す。手軽にオーダーできる酒肴もあり、また深夜までの営業なのでBARとして利用できるのも人気の理由だ。
鉄板焼きなどの牛肉にはすべて国産の最高等級(肉質がA-5ランク)を用いるなど、食材選びには徹底的にこだわる塚田シェフ。一方、ご本人にモットーを聞くと「こだわりのないのがこだわり」だとか。味に関しては決して自分の主張を押し付けないと話す。同店では鉄板料理の薬味を6種類用意しているが、コースの仕上げであるガーリックライスの味付けは、それらの減り具合を見て調整する。そんなシェフの気配りこそが、人を歓びで満たす最高のスパイスなのかもしれない。
塚田シェフは京都の有名ホテルなどで鉄板を前に腕を奮っていた頃から「もっと多彩な料理でお客様に歓んでほしい」との思いが強く、創作割烹の研究を重ねてきたと言う。その集大成と言えるコース料理の前菜は季節感にあふれ、例えば春にはハマグリとウニのマリネ、ふろふき大根と白身魚に葛だしをかけたものが供される。一品料理もバリエーション豊富で、手作り豆腐や湯葉巻のビーフシチューなど、京の味覚もしっかり堪能できる。ワインを多彩に揃えているのも特長で、ソムリエでもあるシェフが予算に合わせて最適な一本を選んでくれる。
天然木を基調としたインテリアは、古都・京都を感じさせるシックな装い。柔らかな間接照明が店内空間を優しく包むなか、鮮やかな印象を放つのがギリシャ・グラススタジオ社のテーブルウェア。芸術性の高いガラス製の器で、世界の三つ星ホテルでも用いられる銘品だ。見目麗しい料理とカラフルなガラス食器の競演は、箸を止めての鑑賞に値する。料理と器のコーディネートについては、グラススタジオ社販売店のスタッフとともに知恵を絞ったというから納得だ。