[祇園]
四条通から路地を入ったところ。「京料理 万年青」は華やかさとは一線を画す、しっとりと静かな祇園町の一角にある。昔ながらの京町家の佇まいも風情たっぷりの店だ。主人はおよそ30年もの間、京の数々の名店で腕をふるってきた。その職人技が堪能できるコース料理は意外なほど良心的な価格で、常連客はもちろん、京料理の初心者も肩肘張らずに食事が楽しめる。旬を堪能できる「京会席」「ミニ会席」のほか、秋冬には「ふぐコース」、4月~11月には「鱧コース」もおすすめ。
「うちの料理はさまざまなお店のいいところ取りです」、と主人。腕を上げるためいくつもの名店に席を置いたからこその言葉といえる。また「京料理を大衆的に」をモットーとし、毎朝中央市場へ行き、お値段に合う食材を厳選してコースを構成する。「京会席」「ミニ会席」は、まず7品~8品が付く前菜からスタート。旬の食材に「何から食べよう」と思わず迷ってしまうのも楽しい。季節の料理の中にあって、唯一定番として付く「かぶら蒸し」は、これを目当てにするリピーターもいるほどの名物。フワッとしたかぶらの中に、甘鯛、鰻、ゆりね、ぎんなん、きくらげなど味わいも食感も異なる具が入り、まさしく滋味豊かな逸品だ。「ふぐコース」、「鱧コース」にも自慢の前菜盛り合わせが付き、お鍋ができる間、ちょっと一杯やるのにちょうどよい。
同店の建物は、紅殻格子に簾を掛けた典型的な京町家。明治時代の築で、元は日本髪を結う髪結いさんの住まいだったという。中に入ると、年季を感じさせる低い天井、階段、すりガラスなど当時の造りをほぼそのままに残し、人の家に招かれたような懐かしく寛いだ空気が流れている。観光客のリピーター、女性同士の仲良しグループや家族連れの利用が多いのも、親しみやすい魅力があるからだろう。座敷、掘りごたつ、13名位まで入れる広めの座敷がある。