[五条周辺]
京町家がいまだ多く残る堺町通の一角に、築80年以上の民家を利用した「リストランテ美郷(みさと)」はある。格子戸を抜けると通り庭が延び、茶室があった当時からの“待合腰掛”が残されているなど、かつての風流な暮らしが伺えるよう。アプローチから京都らしさを十分に体感できるこの空間で味わえるのは、イタリアの郷土料理を盛り込んだ同店ならではのコース料理。京都・上鳥羽の無農薬野菜、気仙沼から直送の魚介など旬の食材を用い、南北に長く地方ごとにさまざまな特徴のあるイタリア各地の味を、季節感たっぷりに提供する。
1階は、石灯籠や手水鉢を配した坪庭を望むテーブル席。京の民家らしい佇まいを残しつつ、赤いテーブルクロスやガラス張りの大きなワインセラーがイタリアらしさを醸す。大人っぽくしゃれた雰囲気があり、食事会のほか、接待などにぴったりだ。2階には床の間、違い棚、雪見障子などが残り、町家の面影を色濃くとどめる。そこにソファーを置いて、食前酒やデザートを楽しむサロンラウンジに。また個室もあり、こちらでは小さなお子様連れでも快く受け入れてくれる。
京都の有名イタリアン店で料理長を努めた経験を持つ毛利亮シェフのモットーは、“時重ね、土地重ね”。“時重ね”とは古典的な調理法を大切にしながら、現代的、あるいは独自のスタイルを加えること。たとえば、オリーブオイルを使用する南イタリアの料理においてバターを使うことで、コクをプラス、よりワインに合う味わいに仕上げるなど、さりげない工夫がおいしさの秘密。“土地重ね”とは、各地域の味を一皿で表現すること。北部・南部・中部イタリアのデザート盛り合わせなどがその例だ。
料理にはぜひイタリアワインを。フルーティな甘口、シャープな辛口など多彩な味わいのワインを豊富に揃えている。うれしいのは、フルボトルが3000円から価格帯ごとに分類、表示されていること。予算に合わせて「今日はこのランクのワインで」と気軽にオーダーすることができる。もちろんワインに詳しいスタッフもいるので、何でも相談を。グラスワインやグループ向けのマグナムボトルもあり、ワインと料理との気ままなマリアージュが楽しめる。