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「京の台所 月の蔵人」のある伏見は、豊かな水と酒の町として知られ、その昔、十石船が行き交った濠川沿いを柳が揺れ、白壁板塀のどっしりとした酒蔵が建ち並ぶ。近くには坂本龍馬の常宿であった寺田屋など幕末の史跡も残り、そぞろ歩きの楽しみに溢れる町だ。そんな伏見散策の途中、ぜひとも立ち寄ってみたい同店は、蔵元・月桂冠の酒蔵だった建物をほぼそのままに利用した店で、周囲の風景に溶け合うように佇んでいる。

店内は、100年前の姿をとどめる太い梁や柱、吹き抜けとなっている高い天井が印象的。時の流れを重ねてきた人肌の温もりと開放感があり、たいへん居心地がいい。靴を脱いで上がるスタイルで、通路は「人ふたりが余裕で歩ける広さ」を確保。くつろぎ感のある掘り炬燵(ごたつ)のテーブル席や落ち着きのある座敷が並び、全体的にゆったりとした造りが、贅沢なひとときを演出してくれる。 |