|

豆腐は江戸の昔から京名物として名高い食べ物で、今も京都のいたるところで豆腐料理の店に出会うことができるほど。南禅寺門前にもたくさんの湯豆腐屋が並んでおり「南禅寺豆腐」と称されている。湯豆腐の名店、「南禅寺 順正」の南禅寺店もその中の一軒だ。ここはそもそも天保10年(1839)に新宮凉庭(しんぐうりょうてい)によって開設された学園「順正書院」だった場所で、敷地内には往時の姿を今に伝える書院建築も残されており、登録有形文化財にも指定されている。

この店では、湯豆腐以外に本格的な京料理も味わうことができる。参道からちらりと覗けば気軽な湯豆腐処の風情なのだが、手入れの行き届いた庭園の奥にある「順正書院」や「涼庭閣」、「蓮月亭」で、こころゆくまで季節の会席料理が味わえるのだ。もちろんコースには自慢の湯豆腐もついてくる。豆腐と京料理が一度に味わえるのは、滞在日数の限られた旅行者にとっても魅力的だ。通りすがりに覗くだけでは、この店の醍醐味は伝わりにくい。ぜひとも深部に分け入って、料理を味わい、名店の佇まいを堪能してみたい。 |