
祇園枝垂れ桜(しだれざくら)で有名な名勝・円山公園の一隅に、「京名物いもぼう」の暖簾(のれん)をあげる茶店風の端正な佇まい。これが「いもぼう平野家本家」である。元禄から享保の時代に創業され、以来300年近く続く老舗の暖簾と伝統のほんまもんの味を、14代当主が守り続けている。(「いもぼう」は登録商標です)
|
|

いもぼうとは、海老芋(えびいも)と棒鱈(ぼうだら)を甘辛く炊き合わせたもの。素朴で滋味豊かな味わいが人々に親しまれ、京ではすっかりお馴染みの名物料理だ。
口伝で伝えられた独自の製法で、一昼夜じっくり炊かれたいもぼうは、べっこう色の艶やかな仕上がり。ふくよかに炊き上った海老芋は箸がすっと通るのに、見事なほど形が崩れていない。棒鱈も骨までほろほろと崩れるほどやわらかだ。口に入れると、むっちりとしたなめらかな口あたりで、鰹と昆布のダシに棒鱈の旨味が溶けだし、海老芋の芯までしっかりと染み込んで実に美味しい。互いの持ち味を引き立て合った、まさに"出会いのもの"と言われる逸品だ。(季節により芋の種類が変わります)
|
|

1年を通して味を一定に保つのは至難の業。夏場は里芋を使ったり、気候の変化や、素材の質で味を調節するなど苦労も多い。しかし、伝統の味が今に伝わるのは、代々の当主が経験と舌で覚えてきた一子相伝(いっしそうでん)の味ならばこそ。川端康成をはじめ数多くの文人墨客(ぶんじんぼっかく)がこの味を愛し、しばしば店を訪れたというのも頷ける。
|