いくまつ

[先斗町・木屋町]

維新の系譜を奏でる、京料理の極み

長州藩控え屋敷をそのままに

京都 グルメ 「幾松」

森鴎外の作品「高瀬舟」で有名な高瀬川(一之船入跡の近く)に沿った、木屋町筋に玄関を開く料理旅館「幾松」。その屋号は維新の指導的政治家・桂小五郎(後の木戸孝允)と三本木の芸妓・幾松が住んでいたことに由来。建物は長州藩控え屋敷の佇まいをそのまま受け継ぎ、登録有形文化財に指定されている。

語り継がれる、真実の愛

古都の魅力に触れ、再び京都を訪れてほしい…。そんな願いを込めて「幾松の部屋」を解説付で案内している。桂小五郎が身を隠したと言われる長持ち、仕掛け天井、鴨川の河原へ抜けられる隠し通路のある床下などがあり、緊張感に満ちた二人の暮らしぶりが伺える。案内係の名調子に耳を傾けながら、愛しい人を守り抜いた幾松の生きざまに心を動かされる人は少なくないはずだ。

京都 グルメ 「幾松」

素材の質と鮮度にこだわって

料理旅館を標榜する「幾松」自慢の京懐石は、素材の質と鮮度へのこだわりこそ原点である。ふき、じゅんさい、ウド、加茂なす、湯葉、鮎…京を代表する食材の数々を用い、料理長・大矢幸和氏が持てる技と情熱を惜し気もなく注ぎ込んだ懐石料理は、まさに京料理の極み。目に鮮やかな八寸をはじめ、炊合、焼物、蒸物のいずれも滋味豊かで味わい深く、上品な後味が残り香を伴って鼻腔をくすぐる。

京都 グルメ 「幾松」

幾松名物「特製手作り豆腐」

「幾松」の献立に用いる素材は地産地消を旨とするだけでなく、生産者の顔が見えるものだけを厳選。“海・山・川の幸”いずれも素性の知れた食材で、しかも旬のものだけを使っており、季節毎に訪れると趣の異なる味わいが愉しめる。独自メニューの開発にも積極的で、とくに女将たち女性スタッフが試行錯誤してたどり着いた「特製手作り豆腐」の食感と味わいは、すでに同旅館の名物と言えよう。

京都 グルメ 「幾松」

涼に浸る床で“鱧”料理に舌鼓

鴨川沿いの料理旅館において5月から9月末の風物詩とくれば、言わずと知れた床料理のシーズン。幾松の床からは暮れなずむ大文字や東山、比叡山の山並みが眺められ、涼味あふれる京料理を味わえる。日本三大祭に数えられる祇園祭は、別名“鱧(はも)祭”と呼ばれるが、この時期の献立の中心となるのも、やっぱり“鱧”料理。涼しげな器と調和した繊細な美味を心ゆくまで堪能できる。

掲載情報は2007年6月に取材した内容で、写真はすべてイメージです。

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