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享保3年(1718)の創業の地、千本通りからその名が付いたという「ちもと」。今の西石垣通に移転したのは明治初期のこと。300年の歴史を刻む老舗であり、昔と変わらず愛され続ける名店だ。

この店のモットーは受け継がれた伝統を大切にしながらも、それに甘んじないという姿勢。料理については同じ月、同じ食材を使っていても、決して同じ献立にはしない。春の雛祭や夏の祇園祭、秋の観月など歳時にのっとりながら月ごとに趣向を凝らし、その都度器も変えるのだ。しつらえも京情緒を守りつつ、時代に合わせる。

もちろんサービスも同じ。一人ひとりの気持ちに立って常に間を計り、繊細かつ豊かなサービスを工夫する。これらすべてにおいて現状に満足することなく、日々研鑽(けんさん)を重ねているのである。客人も美食だけでなく、空間や気心が揃った粋な世界に浸ることを求めてここを訪れる。料亭の楽しみは食だけではないことを実感させてくれる貴重な一軒と言える。 |