先斗町は京情緒あふれる花街。「味がさね」はその石畳の通りに面して静かに佇んでいる。160年余り前に建てられた元お茶屋だと聞くと敷居が高く感じられそうだが、その雰囲気と、和中折衷の創作料理のコラボレーションが気軽に楽しめるスポットである。玄関で靴を脱ぎ、坪庭を眺めながら廊下を進むと、昔からの朱塗りのカウンター席が鴨川に面して設えてある。2階にはお座敷があり、ここから眺める鴨川の眺めも格別。これだけの空間で季節の食材をふんだんに使った会席料理が3800円〜(室内)というのは嬉しい。
「味がさね」の料理の特徴は、和食と中華の「味」の重ね技である。例えば中国野菜を和食の炊き合わせに使ったり、和食のダシに干し海老や中国ハムでコクを出したり、といった具合。「ちょっと変わったものが食べたいというお客さんが喜ぶような料理が得意」と料理長は言う。といっても基本的には繊細でやさしい味。ヘルシーな食材を取りそろえ、食欲のないときにも美味しく食べられるように、和食に中華のスパイスを少し加えることもあるとか。会席料理のほか単品料理も常時50〜60品。定番の人気メニュー「茄子の田楽煮込み」は、茄子を揚げて田楽味噌で中華風に炊いたもの。甘辛くてツルンとした喉ごしがたまらない。
5月から9月までは鴨川納涼床のシーズン。ここの川床は掘りごたつ式になっているので楽な姿勢でゆっくり過ごせる。夕闇の中で旬の食材のハーモニーが堪能できる夜の京会席は6500円〜。いずれも鱧がメインで、コースによって「活け鱧おとし〜梅肉、梅味噌〜」、「活け鱧と京野菜しゃぶしゃぶ鍋」のどちらかになる。また、5月と9月だけは床のぜいたく気分を手軽に味わえるランチもあるのでお見逃しなく。ランチのお客様は女性が大半なので「品数豊富で見た目も美しく」と特に心を砕いているそうである。
単品料理のほか地酒や焼酎も豊富でバー使いにもよいこのお店。隣の和中華割烹「華めぐり」も系列店であり、大人数の宴会のときには2階の座敷の仕切り戸を開けてくれる(70人収容可)。川床も間のすだれを上げればひと繋がりに。パーティなどにも良さそうだ。